10月11日は「国際ガールズデー」。2011年に国連によって制定された、女の子たちの権利や教育の大切さを考える日です。 昨今、女性たちの生理が少しずつ語られるようになってきました。すると、これまで見えていなかったことにも目が向けられるようになり、大人ですら「知らなかった!」と驚くことも。 特に、男性においては見聞きすることがなければ未知の世界。Bé-A〈ベア〉は多くの方々にセミナーを実施してきましたが、男性から「生理用ナプキンは1日に1枚使うものですか?」と大真面目に聞かれることは少なくありません。女性ならすべてわかっているかというと必ずしもそうではなく、たとえば、現在4人に1人の割合とされる「過多月経」についても、どういう状態がそれにあたるのか、自分が該当するのか考えたともなかった、という女性は意外に多いもの。毎月のように自身の体に起こるからこそ、「いつものこと」と無関心になりやすいのかもしれません。 知識を得た後に、大人が口にするのは「もっと早く知りたかった」「生理についての教育は早期にしっかりするべきだ」というもの。知らないことで無意識に誰かを傷つけていたり、本当はサポートが必要であったであろうことを見過ごしてしまっていたことについて、「知識さえあれば行動も変わっていたのではないか」というのもまたよくある声です。 当事者である女性たちも、知識不足ゆえに自分の体を大切に過ごせなかった経験を持つ人が少なくありません。「学生時代の無月経について、将来の不妊や諸症状にもつながる大変なことだとは思えなかった」という声も。 私たちの人生にとって切っても切り離すことのできない生理について、知識が乏しい理由とその影響について考えてみましょう。
日本では、女性の生理に関する教育があまり進んでいないという感覚を持ち合わせている方もいるのではないでしょうか。現状では、小学校において4〜6年生の時に指導が行われる学校が多いようです。身体の成長や変化についての基礎的な理解を得られるような内容を中心として、数時間から数日程度の授業で扱われ、生理のメカニズムについてはそこで知ることができます。授業は男子生徒と女子生徒を分けて、生理の指導は女子にのみ行われることも少なくありません。 かたや、家庭ではというと、男兄弟がいる場合は、あまり知られないようにと会話がなされることもあるでしょう。生理用品を、皆の目につかないところにしまっているというのも珍しくはないことです。 こうして、学校や家庭で生理についてオープンに話し合われない状況を経験していくうちに、「生理は隠すべきもの」という印象がつき、生理はとても個人的で閉鎖的なものになっていきます。 今も昔も、思春期の子どもたちにとって、生理のことは先生や親に相談しづらいと感じることが多いトピックかもしれません。とはいえ、わからないことがあった時に身近な誰かに聞くしかなかったひと昔前とは違い、アフターインターネット世代である今の子どもたちは、スマートフォンなどを駆使して疑問を解決しようとする傾向が見られます。 ここで問題になるのが、オンラインの情報が必ずしも正しいとは限らないこと。誤った情報を取り入れることで、余計な不安や自己嫌悪など、混乱を引き起こすことがあります。 また、生理についての教育が不足しているという状況は、男女間の理解の差を広げる原因にもなっています。正しい知識が十分に共有されていない男性は、女性の身体について理解する機会が少なく、女性自身も自分の体についての知識が浅いまま大人になることがあります。それが、将来的には人間関係や社会的な問題にまで影響を及ぼす可能性があることも。 「周りに辛さをわかってもらえない」としばしば悲しみを生むことのある生理ですが、「わからない」の前に「知らない」という壁が立ちはだかっているのかもしれません。
小学生の授業では、生理の仕組みは説明されるものの、体調管理やトラブルの対処法について具体的な指導がほとんど行われていません。そのため、子どもたちは実践的な知識を持たず、「痛みがあるなんて知らなかった」「血が赤くなくて体がおかしいのかと思った」「ナプキンに種類があるなんて知らなかった」「頭痛や下痢が生理と関係あるなんて知らなかった」とさまざまに翻弄されながら過ごします。結果として、生理に対してネガティブなイメージを持ち、体に対する理解が浅いまま成長してしまうことも。また、女子がそのような状況下で生活していることを男子は知りません。 この問題を解決するために、学校教育の中で、生理についての知識に加え、実践的なスキルを教えてほしいという声を耳にします。具体的には、生理中の体調や衛生管理、痛みの軽減法など。さらに、生理の前にはPMSの症状がある人もいること、経血の量や痛みに個人差があることなどを伝えていくと、子どもたちがより包括的な理解を得られるでしょう。 何より、生理については継続的に学ぶことが大切です。身体の変化や心の健康についての理解は、成長するにつれて変わっていくもの。段階に応じた情報が、その時その時の子どもたちの助けになるでしょう。授業を受けて終わりとせず、日常生活や経験を通じて繰り返し学び、身につけていけるように、学校や家庭で生理についてオープンな対話ができる文化を育てることも重要です。話しやすい環境を作ることで、子どもたちは安心して疑問を解消しながら、正確で実用的な知識を得ることができるでしょう。 生理の知識を得た上で、男女の違いや女子同士の個人差をきちんと認識すると、自己理解や他者への理解、健康管理、コミュニケーションスキルなどが高まります。それは、誰にとっても生きやすい、やさしい社会につながっていくのではないでしょうか。 生理の学びは女性の人生を快適にするためだけのものではありません。 皆で学び続けることの大切さを、国際ガールズデーをきっかけに考えてみませんか?