手足が冷えて眠れない、体が重い…。 一段と寒さが厳しくなるこの時期、「冷え」が気になる方も多いのではないでしょうか? 「冷え」はただ寒いというだけでなく、実は私たちの健康にもさまざまな影響を与えています。 そこで注目したいのが「温活」。 「温活」とは、体を温めることで、健康維持や美容に役立てる取り組みのこと。 現代社会では、技術の発達によって体を動かす機会が大きく減りました。これに伴い、筋肉量も減少。 体内で熱を生み出す最大の器官は筋肉ですから、筋肉量の減少は体温の低下に繋がります。 またエアコンの普及により、現代社会では汗をかきにくく、自律的な体温調節能力が弱まっているともいわれています。 体温の低下は、血行不良を招きます。血行とは、血液の循環、いわゆる体の巡りのこと。 全身を巡る血液は、細胞に栄養と酸素を送り届け、かわりに老廃物を持ち帰る働きをしています。そのため、血行不良で細胞が栄養不足になると代謝が低下し、溜め込みがちで太りやすい体に。 また、血液は免疫機能を担う白血球を体内に巡らせ、病原菌を撃退する役割も。血行が悪くなると白血球の巡りが悪くなり、感染症にかかりやすくなります。 実は体温が1℃下がると基礎代謝は約12%、免疫力は30%減少すると言われています。 さらに女性はもともと筋肉量が低い上に、生理周期に伴って0.3〜0.5度体温が変動します。 そのため女性は体温が低下しやすく、余計に冷えを感じやすい傾向に。 「温活」は、体温をあげて基礎代謝を上昇させることで、これらの問題を改善し、健康な体へと導いてくれます。 代謝が上がることにより、燃えやすくなった体はダイエットにも効果的。 血行が良くなることで肌のターンオーバーが促進され、美肌効果も◯。 厳しい寒さがこたえる時期、「温活」を取り入れて心も体も温めてみませんか?
「温活」を始めたいけど、何から始めたらいいの?と迷ってしまう方へ。 「温活」のポイントは体を冷やさず温めること。まずは以下のような行動を、日常に取り入れてみましょう。 ■食べ物や飲み物で体を冷やさず内側から温める ・冷たい飲み物を避け、常温や温かい飲み物をとるようにするだけでも体感は大きく変わります。 ・朝起きてから白湯を飲むのもよい方法です。内蔵を温め、代謝を促進して、一日を元気にスタートできる準備を整えてくれます。 ・体を温める効果が高い食材を積極的に摂りましょう。にんじんや大根、さつまいもといった根菜類や、生姜、ニンニク、唐辛子などは、体を温める作用があります。 ■入浴で心も体もぽかぽかに ・入浴は効果的な温活の一つ。温かいお湯にゆっくり浸かることで体温も上がり、心もほぐれてリラックスできます。 ・熱すぎるお湯は逆効果になることもあるので、ぬるめのお湯に長時間浸かるようにしましょう。入浴剤を使うのも◯。 ■生活習慣を整えて、十分な休息を ・体温の低下は、栄養不足や睡眠不足といった不規則な生活、ストレス、運動不足などで自律神経が乱れることが原因となることも。十分な休息をとり、生活習慣を整えましょう。 しかし、一時的に体が温まっても、体温が低いままではすぐにもとに戻ってしまいます。 根本的に体温を上げるには、自らが熱を生み出せる体づくりが大切。 そのためには、熱を生み出す最大の器官である筋肉の量を意識しましょう。 歩く習慣やストレッチなど、無理のない範囲で日常に適度な運動習慣をとりいれることをおすすめします。 筋肉量が増えることで効率的に熱を生み出せる体に。筋肉の70%が集まっているといわれる下半身を中心に鍛えるのが効果的です。 「温活」を習慣化することで、冷えを防ぎ、健康的な体作りへ。無理なく続けられる方法を少しずつ取り入れ、日々の生活に温かさをプラスしていきましょう。
体温を上げるには筋肉量を増やせばよいというものの、すぐに筋肉量を増やすのは難しいものです。 寒さが厳しく冷えやすいこの時期、すぐにでも温めたい、という場合には、太い血管を温めるのがおすすめ。 手足が冷たいからと末端を温めたりするよりも、全身に影響の大きい太い血管を温めて血流をよくすることで、そこから枝分かれする毛細血管の流れも良くなり、熱が全身に広がりやすくなります。 具体的には、太ももの付け根(そけい部)、腰、背中。そして3つの首(首・手首・足首)です。 マフラーやレッグウォーマーを活用したり、腹巻きや、太ももまで覆える長さのインナーを選ぶのもよいかもしれません。カイロや温湿布などを利用するのも手軽で便利です。 マッサージなどで血行を良くするのもよいでしょう。 体を冷やさず温める「温活」。 体温が上がることで、得られるメリットはたくさんあります。 まず挙げられるのは、 手足が冷える、体がだるいといった冷え性の症状の改善。 さらに血行が良くなることで免疫力も向上し、風邪などの感染症にかかりにくくなります。 また、基礎代謝が向上することでカロリーの消費量が上がり、太りにくい体へ。 さらに血行が良くなることで、肌のターンオーバーが促進され、健康的な肌状態を保ちやすくなります。 他にも、温まることでリラックス効果が高まり、睡眠の質向上やストレス軽減に繋がります。 けれど「温活」は、短期間ですぐに効果が出るものではありません。少しずつできることからはじめて、継続することが大切です。 あなたに合った方法で、心も体もぽかぽか温めて、寒い冬を乗り切りましょう。 医療監修 宗田聡医師(医学博士・産婦人科医・産業医)