Bé-A Journal

国際ガールズ・デーに考える性教育

2021年10月11日に10回目を迎える「国際ガールズ・デー」。
国際ガールズ・デーは、女の子の権利や女の子のエンパワーメントを社会に広く呼びかける日です。
 
女の子たちが、「人生におけるあらゆる選択肢を自分の意思で選びとり生きていくために必要な力、男性と対等に家庭内や社会の意思決定に参画する力」を得られるように、多くの機会を作り出す。国際ガールズ・デーには、そういった目的があります。
 
日本に古くから存在する「男尊女卑」という言葉。男尊女卑には、男性の方が優れているという考えに加え、女性をさげすむ女性蔑視の意味合いも含まれています。現代では男女平等が主張され、男尊女卑という差別的な考え方は改められるようになってきましたが、性差別や社会的差別は根強く残っており、まだまだ女性の社会進出には壁があります。
日本が先進国の中でも男女格差が大きくジェンダー平等への理解が乏しい背景には、性教育の問題も。
 
インターネットの普及により、あらゆる情報に容易にアクセスできるようになり、インターネット利用者の低年齢化も進んでいます。間違った情報も数多く存在する中で、情報リテラシー(情報を正しく扱う能力)が未熟な子どもたちが、性に関する正しい情報を得ることはとても困難なこと。
 
生理に関する授業もクラスを男女別にわけられ、女の子しか授業を受ける機会がない等、男の子の生理に関する理解が進まない現状もあります。学校の授業では、さまざまな選択肢がある生理用品の紹介や使用方法の説明、レクチャーまでは行き届いておらず、女の子は不安を抱えたまま生理を迎えることも。
また、正しい理解をしていないことで生理用品の扱い方がわからなかったり、生理のメカニズムなど体に起こる変化に気づくことができず、10代の意図しない妊娠につながることもあります。
 
私たち大人は、今の性教育の現状に目を向け、学校や家庭で生理や妊娠、ジェンダー平等などについて、正しい知識を身に付ける機会を設ける必要があるのではないでしょうか。

高校生の性知識、正答率3割の現状

世界の先進国に比べると、日本の性教育は非常に閉鎖的で、遅れていると言われています。
NPO法人ピルコンが、関東圏全日制高校生1年生~3年生男女 4,016名(11校)に実施した「高校生の性知識・性意識・性の悩みに関する調査」によると、高校生の性知識の正答率の平均は3割であるという結果が出ています。
 
その背景には、“受精”については取り上げても、受精に至る“過程”は教えないという、いわゆる「はどめ規定」なるものの存在があります。
このため、学校の教育の中で「性交」について教えることは避けられる傾向が続いています。それにより子どもたちは、HIVや性感染症について教えられても、どのような行為がその感染につながるのか正しく理解できていないのです。
 
文部科学省は、性犯罪・性暴力対策の強化のため、令和2年度から4年度までの3年間を、性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」として、教育の強化に取り組むこととしています。
 
それに際して作成された『生命の安全教育』には、性犯罪やDVについての内容が盛り込まれていますが、ここでも「性交」に関する説明はありません。するとやはり、性暴力・性被害とは具体的に何なのかが正しく理解できないため、もし何か性的被害を受けたとしてもそれを「性被害」だと理解できない可能性があります。それだけではなく、無自覚に性犯罪や性暴力をはたらき「加害者」になってしまう可能性も。
 
また、相互理解やジェンダー平等について理解していくためには「性と健康」の教育だけにとどまらず、「包括的性教育」も重要です。包括的性教育とは、セクシュアリティに関する個人の関係性、態度や価値観、社会・文化・権利などを含んだ教育のこと。
 
この教育によって、ジェンダーがいかに一人ひとりの生き方を形づくっているか、いかに多様であるのかに気づく機会となります。また、相互理解の基盤とともに、尊重しあえる平等な関係性の形成も促進。それにより、性の権利と健康に対するポジティブな価値観や自尊心、人権やジェンダーの平等という視点を育成していくことができます。

性教育は女の子の未来を守ることにつながる

早すぎる妊娠、意図しない妊娠は、成熟していない身体にとって大きな負担となることに加え、学びの機会喪失や貧困につながっていきます。
貧困とは、経済的な困窮だけでなく、教育や社会進出など、あらゆる選択肢や機会が奪われた状態のこと。自力ではその状態から抜け出すことはとても困難で、ますます悪い状態に陥ることも珍しくありません。
 
国際的にみると、日本は性教育後進国。
性教育が遅れていることで、深刻な傷を負うのは子どもたち自身であるということを忘れてはいけません。
 
今、大人たちがやるべきことは、子どもたちが正しい知識をつけて、自分の未来を守る力を身に着けられるように導くこと。そして、多様性を認める教育で、ジェンダー平等の社会につなげていくこと。
 
悲しいけれど、学校だけでは必要な知識が身に着けられない現状があります。
親子で性に関する話をすることは難しいことかもしれませんが、子どもたちの未来を守るためには家庭でも性について話ができる雰囲気づくりが大切です。
インターネットの不確かな情報に流され、自由に生きる未来が失われないようにするためにも、はぐらかさず、きちんと子どもの疑問と向き合うことで、性への理解や自分だけじゃない他人の尊重につながっていくと信じています。
 
そして、包括的性教育をすべての子どもたちが学べるようになることで、多様性を認め、根拠なき無理解や差別をなくし、セクシュアリティ、人権、互いに敬意を払う対人関係、価値観の尊重ができる社会づくりにつながっていくことを祈っています。