Bé-A Journal

私が私らしく、みんなが自分らしく。ルッキズムを考える

ルッキズムってなんだろう

ルッキズムという言葉を知っていますか?
なんとなく聞いたことがあるという方も多いかもしれません。
Looks(見た目)+ism(主義)を組み合わせた言葉で、いわゆる外見や容姿を重視する見方のこと。外見至上主義とも呼ばれます。また外見だけでその人を判断し、差別したり偏見を持ったりすることも含みます。
 
言葉自体は1970年代にアメリカのメディアによって作られたものですが、日本では2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに大きく注目されることになりました。開会式の演出プランの中に、とある女性タレントの容姿を揶揄するようなアイデアが出されたことが報道され、広く議論を巻き起こしたのです。結果、企画・演出責任者が辞任するという事態に。
 
同時に「美しすぎるアスリート」「美人選手」などの容姿を偏重する表現を多用するメディア報道のあり方についても問われることとなりました。
「美しすぎる◯◯」という表現を目にすることも多いでしょう。こうした表現には、“容姿が優れていること”が素晴らしいとする価値観が根底にあるのではないでしょうか。
就職活動において「顔採用」という言葉が象徴するように、私たちの社会では、外見が評価の基準になることがあります。
しかし、外見だけで人を判断することは、その人の可能性を狭めるだけでなく、多様な価値観を否定することにもつながります。
 
何をもって美しいとするかは、本来主観的なものです。
ある人が魅力的に感じるものが、別の人にとってはそう感じないかもしれません。
感じ方や捉え方は本来人それぞれ。けれど容姿を基準に優劣をつけてしまう、そんな先入観や思い込みが、残念ながら社会の中にはいまだ根強く残っています。
みんな違ってみんないい、そんな多様な美しさを認め合える社会にするために、一緒に考えていきましょう。

自分の容姿が気になる?SNSと美の基準

ふとSNSを覗けば、可愛くメイクをした自撮り、スタイル抜群のモデルのようなコーディネート…完璧な自分を演出した多くの投稿に出会います。
たくさんついている「いいね」を見て、自分と比較して自信をなくした経験があるかもしれません。SNSだけに限らず、ほとんどの人が容姿について悩んだ経験をもっているのではないでしょうか。
 
SNSが普及し、誰もが手軽に発信者になれるようになりました。
投稿する自撮りを少しでも可愛く、そんな「盛れる」機能で人気を集めるアプリもあります。
そうしたアプリの「盛れる」加工のほとんどが、瞳を大きく、肌色を白く明るく、輪郭を細くするもの。
こうした加工は、多くの人から「可愛い」と評価される特徴を強調するように作られています。
つまりは、こうした一定の要件がある種の美の「正解」を示しているのかもしれません。
 
では、「盛れて」いない自分は可愛くないのでしょうか。
本当の美しさとは何なのか、今一度振り返って考えてみましょう。
 
加工された写真や動画を見て、自分もそうなりたいと願う気持ちは自然なこと。
しかし、たくさんのいいねが集まること=価値があることではありません。
 
美しさには多様な形があります。外面だけでなく、内面の美しさや才能、考え方など、人それぞれに異なる魅力があるはず。誰かが決めた美の基準に合わせる必要はないのです。
誰かからどう思われるか、ではなく自分がどう思うか。
まずは“自分”を大切にしてみることを心がけてみましょう。

ルッキズムはある意味自然なこと?多様な魅力を認め合える社会へ

私たちは、初対面の人と出会う際、無意識のうちにその人の外見から様々な印象を抱いてしまいます。
これは、人間が視覚的な情報から判断する能力に長けているからこそ、ある意味普遍的な性質と言えるでしょう。
しかし私たちはなぜ、外見を重視してしまうのでしょうか。
 
一つの要因には、社会全体が無意識のうちに外見重視の価値観に偏っていることが挙げられます。
普段目にする何気ない広告やメディアに登場する顔立ちやスタイルの整ったモデルなどは、ある意味美しさの基準とも言えます。そして私たちはそれに合わせて外見を一つの価値基準として捉えがちです。
 
しかし、外見だけが全てではありません。
大切なことはは、そこだけで判断しないこと。
ある人に出会って、ステキだなと思うことは誰にだってあります。逆に苦手だなと思うこともあるでしょう。
最初は苦手だなと思っていた人が、話してみると意外といい人だったという経験があるかもしれません。
内面の美しさ、心の温かさ、知性、ユーモアなど、人としての魅力は多種多様です。
外見の美しさはもちろん素晴らしいですが、それだけがすべてではありません。
 
外見だけでなく、内面も含めた多様な魅力を認め合い、尊重し合う社会へ。
そのためには、まず自分自身をありのままに受け入れることが大切です。そして自分の周りの人々もまた、様々な価値観や個性を持っていることを理解し、尊重できるように。
 
多様な魅力が認められる社会では、誰もが自分らしく自由に生きることができ、深いつながりを持ったより豊かな人間関係を築くことができます。すると、私たちの人生はさらに温かく、充実したものになるでしょう。