女性にとって、毎月のように訪れる生理。 現代女性は初潮年齢の低下や出産回数の減少などから、昔に比べて、生涯で経験する生理回数が約9倍に増加。回数でいうと450回ほどになると言われています。 しかし、その周期や、経血量、生理痛などの症状は、人それぞれ。 生理周期は25日~38日が正常とされていますが、実は、生理周期は年代によって変化しています。 10代~20代にかけては周期が徐々に長くなり、その後女性ホルモンが減少し始める30代~40代前半にかけては徐々に短縮していく傾向にあります。 また、生理の中でも特に分かりにくいのが経血量。 なんとなく「2日目が一番多いかな」などとは感じていても、その量が多いのか少ないのかを正確に知っている人は少ないのではないでしょうか。 通常、1回の生理での経血量は約20ml~140mlとされています。 しかし実際に経血量を測るのは難しいもの。 生理用品の吸収量や交換の頻度などから多い、少ないを判断しているのが実情でしょう。 また、同じ人であっても毎回同じ量とは限りません。 食事やストレス、ホルモンバランスやその他の体調などさまざまな要因と関連しあって、生理は、周期も量も痛みさえも変化していくもの。 逆にそれだけデリケートな生理は、自分のカラダについて教えてくれるバロメーターと言えるかもしれません。 日頃から自分の生理を把握しておくことで、変化が起きた場合に気づきやすくなります。 女性の人生のうち、大きな部分を占める生理期間。 憂うつな気持ちになりがちな時期ですが、きちんと向き合って自分の体のサインを見逃さないことが大切です。 生理と上手に付き合うことで、心も体ももっとラクに、もっと健やかに。 まずは自分のリズムを知ることから始めてみませんか?
1回の生理での経血量は、平均して約20ml~140mlとされています。 経血量がこの範囲を大きく超える、または下回る場合は、体からの重要なサインかもしれません。 ◆過多月経とは? 経血量が過度に多い場合は「過多月経」と言われます。 実際に量を測ることは難しいのですが、目安として以下のような点に心当たりがあれば過多月経を疑ったほうが良いでしょう。 ・ふつうのナプキンでは1〜2時間ほどで交換しないと漏れる ・昼でも夜用ナプキンでないと対応できない日がある ・生理期間が長い(8日以上) ・出血にレバーのような塊が混じる 原因としては、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などによる器質性や、卵巣の機能不全やホルモンバランスの乱れなどによる機能性が考えられます。 また、過多月経が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、鉄欠乏性貧血を引き起こすことも。 生理によって鉄が失われるため、経血量が増えれば、さらに鉄が流出していってしまいます。すると倦怠感やめまい、耳鳴りなどの貧血の症状が現れます。 ◆過少月経とは? 逆に経血量が少ない場合を「過少月経」と呼びます。以下のような状態が続いてはいませんか? ・経血量がおりもの程度で、ナプキンの必要がない ・生理が短期間で終わる(2日以内) 過少月経の原因としては、ホルモンバランスの乱れや多嚢胞性卵巣症候群などが考えられます。 日頃からよく観察し、おおよその経血量を把握しておくことが大切です。 そして少しでもおかしいな、と思ったら受診してみることをおすすめします。 妊娠・出産の希望によっても治療方法は変わってきます。なんにせよ「早期」の治療が不可欠。 経血量の多少を“単なる体質”とあなどらず、その原因をきちんと調べておくことが重要です。
生理は、体調やライフスタイルの変化に敏感に影響を受けます。 例えば、ストレスがかかると生理が遅れたり、経血量が減ったりすることも。 逆に、過度なダイエットや激しい運動が原因で生理が止まる「無月経」になることも。こうした体のサインを見逃さないためには、定期的に自分の生理と向き合う習慣を持つことが大切。 生理は、女性にとって自分の心身の状態を知らせてくれる大切な体のリズムです。 自分の生理はどんなタイプか、まずはしっかり把握しておきましょう。 生理周期や経血量に加えて、生理痛の程度や体調の変化などもメモしておきましょう。記録を続けることで、普段の自分の生理のリズムがわかり、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。 生理に関するトラブルは、婦人科系疾患だけでなく、甲状腺や血液の病気が関連していることもあります。 個人差が大きい生理は、人と比べることが難しく、「こんなものかな」「しょうがない」と消極的になってしまいがち。 ですが、「これくらい大丈夫」と自己判断せず、必要な時には専門家に相談することが健やかな毎日への第一歩です。 生理は、女性の体にとって自然で大切な働き。だからこそ、正しい知識を持ち、日常的に体調を観察することが、心身の健康を守ることにつながるのです。 「私の生理ってふつうなのかな?」 そんな疑問を持ったら、自分の生理と向き合うチャンス。 自分の体をいたわり、快適で健やかな毎日のための一歩を踏み出してみませんか? 医療監修 宗田聡医師(医学博士・産婦人科医・産業医)