Bé-A Journal

#生理から未来への一歩を作る──月経衛生デーに寄せて

5月28日は「月経衛生デー」。
世界中で「生理についてもっと正しく知り、話せる社会を目指そう」と呼びかける日です。
 
私たちBé-A〈ベア〉は、2024年より始動したソーシャルプロジェクト「GBA」を通じて、国内外で女性支援のための活動を広げています。
その取り組みのひとつが、アフリカ・エチオピアでのプロジェクト。
日本でも「生理の貧困」が課題となっていますが、世界に目を向ければ、ナプキンすら手に入らない状況も珍しくありません。
今回は、月経衛生デーに寄せて、エチオピアにおける私たちの取り組みをご紹介します。

エチオピアの生理事情──「生理」が未来を奪う現実

エチオピアは、アフリカ北東部に位置する国。
人口は1億人超(*1)とアフリカで2番目に多く、日本とほぼ同規模です。一方で国土は日本の約3倍あり、80以上の民族がそれぞれ異なる言語を話す多様性に富んだ国でもあります。
 
しかし、こうした背景もあって民族間の争いが続き、2020年から約2年間続いた内戦は形式的に終結したものの、今も一部地域では日本から「退避勧告」が出ている状態です。
 
国全体の平均年収は約1,000ドル(約14万円)(*2)。首都アディスアベバの一般的な年収は約7,000ドル(約98万円)(*2)とされ、都市部と農村部の経済格差も深刻です。生理に限らず、解決すべき社会課題が数多く残されています。
 
生理用ナプキンは、安価な国産のものでも1パッケージ150円ほど。
しかしエチオピア全体の平均年収から換算すると、日本でいえば1パッケージ5,000円相当にあたります(*3)。その“高価さ”が、いかに大きな壁となっているかがわかります。
こうした状況下で、エチオピア国内で月経管理に必要なものにアクセスできる女性は約28%(*4 )程度にとどまります。
それ以外の女性たちは、くず綿や古布を使ったり、また生理期間に学校へ通えないのは当たり前の状況だそう。
特にエチオピアの一部地域では、生理が知られることで早すぎる結婚や性的搾取の危険が増すという悲しい現実があります。
布ナプキンは洗って繰り返し使えますが、干すこと自体がリスクになりかねません。
そのため、見た目が普通の下着に近く、繰り返し使える吸水ショーツは、需要が高いのです。

知ることも、一つの力に。生理セミナーと吸水ショーツの寄贈を通じて

Bé-A〈ベア〉は、生理についての教育(生理セミナー)をエチオピアを含めた国内外で行うとともに、エチオピアへの吸水ショーツの寄贈を実施しています。
 
2024年には、2度のエチオピア訪問を通じて、生理セミナーの開催と吸水ショーツの寄贈を行いました。
現在も継続的に寄贈を行っており、支援の輪が少しずつ広がっています。
 
途上国では生理用品の不足が深刻な問題ですが、それ以上に「知識の貧困」をなくすことが重要だと感じています。
まずは自分の体のしくみを知り、生理について理解すること。
その上で、適切な衛生管理や生理用品の使い方を伝えることが重要だと私たちは考えています。
 
エチオピアでは日本以上に生理がタブー視される現状があり、生理について学ぶ機会がほとんどありません。
そのため、エチオピアでの生理セミナーは、日本で行うものよりも、じっくりと時間をかけて丁寧に伝えるよう心がけています。
参加された方からは「何年も生理を経験してきたのに、基本的なことも知らなかった」という声も。
 
私たちは今後も、生理セミナーを通じて正しい知識の普及に努めながら、将来的にはエチオピア国内での吸水ショーツの製造も目指しています。
 
すべての女性が、自らの意思と力で人生を切り拓けるように──私たちはこれからも活動を続けていきます。

月経衛生デーに、私たちができること

エチオピアをはじめ、世界にはまだまだ「生理」が理由で教育や安全、自由を奪われている人がいます。
そして、それは日本においても無縁ではありません。生理を正しく理解し、語り合えることが、未来を変える第一歩になるはずです。
 
Bé-A〈ベア〉は、「Girls be ambitious. 望めば変わる。人生も、世界も。」をメッセージに掲げ、ソーシャルプロジェクト「GBA」を通じた国内外での支援活動や、吸水ショーツを通じた選択肢の提供を続けています。
 
生理があることで、女性たちが夢や希望を諦めることなく、自由に歩めるように。
そして、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境が整うように。
 
生理が話しづらいことではなく、当たり前に語れることになるように。
そして、自分のからだと向き合うことが、誰かを思いやる力にもつながるように。
 
この月経衛生デーに、まずは自分の「生理」について、少し立ち止まって考えてみませんか?
 
小さな気づきが、未来を変えるはじめの一歩になると、私たちは信じています。
 
 
出典)
*1 https://www.worldbank.org/en/country/ethiopia/overview
*2 https://www.averagesalarysurvey.com/addis-ababa-ethiopia
*3 日本での平均年収を約500万円とした場合
*4 https://www.pmadata.org/sites/default/files/data_product_results/PMA2020-Ethiopia-R5-MHM-Brief.pdf