心とからだを整える2つのミネラル、鉄とマグネシウムのはなし
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・頭痛がする。
・集中できない。
・気分が落ち込みやすい。
・疲れやすい。
そんな、なんとなく不調が続いていませんか?
忙しい毎日や気温差のある季節は、女性の心とからだがゆらぎがちに。
その背景には、目に見えない「ミネラル不足」が隠れているかもしれません。

ミネラルって?──体内で合成できない、大切な栄養素のひとつ
ミネラルとは、私たちのからだが健康を維持し、活動するために必要な5大栄養素のうちのひとつ。
体内ではつくることができないので、毎日の食事から取り入れるしかありません。
カルシウムや鉄、マグネシウムなど、必須ミネラルは全部で16種類。
カルシウム・マグネシウム・カリウムなどの“主要ミネラル”と、鉄・亜鉛などの“微量ミネラル”に分けられます。
それぞれが、生命活動を維持するための大切な役割を担っています。
もし不足すると、不調や欠乏症につながることも。
ミネラル同士は吸収や働きに影響し合うため、ひとつだけでなく“バランスよく”摂ることがポイントです。

女性が不足しがちな「鉄」
鉄は、女性にとって特に不足しやすい栄養素のひとつ。
特に女性は、生理によって定期的に失いやすく、現代女性の約65%が「貧血」または「隠れ貧血」の可能性があるという調査結果も(※厚生労働省 平成21年 国民健康・栄養調査より)。
疲れやすい、朝なかなか起きられない、頭痛やイライラ、肌や髪のカサつきなどを感じるときは鉄不足が関係していることも。貧血対策として意識している方も多い栄養素でしょう。
見落としがちな「マグネシウム」も
鉄に比べるとまだあまり知られていませんが、心とからだを整えるうえで、実はマグネシウムも欠かせない存在。
マグネシウムは、骨や歯の形成をはじめ、筋肉や神経のはたらき、エネルギー産生、体温や血圧の調整にも関与するミネラル。なんと300以上の体内反応に関わる、縁の下の力持ち的な存在です。
しかも現代の食生活やストレスの影響で、マグネシウムは摂りにくく、失われやすい栄養素。
30~40代女性のマグネシウム平均摂取量190~205mg/日という一方で、推奨摂取量は、270mg/日と、日々65~80mgも不足しているのが現状です。
出典:令和5年国民健康・栄養調査 日本人の食事摂取基準(2025年版)

ストレスで失われるマグネシウム
緊張や不安で心臓がドキドキ、呼吸が浅くなったり、肩や首にぎゅっとチカラが入ったり、といった経験はありませんか?
これは、ストレスを受けると副腎からストレスホルモンが分泌され、体を非常事態に備えた“フル稼働モード”に切り替えるためです。血圧や心拍数が上がり、筋肉は緊張し、神経は敏感に。
このとき、神経や筋肉の高ぶりを落ち着かせるために、マグネシウムがどんどん使われていきます。さらに、ストレスホルモンの影響でマグネシウムが尿中に排出されやすくなります。
つまりストレスが続くと、消費と排出のダブルパンチでますます不足しやすくなってしまうのです。
ライフスタイルでも減る、マグネシウム
実は、日々の習慣もマグネシウムの消費に影響を与えることが。
▪️お酒(アルコール):アルコールの代謝過程でもマグネシウムが消費されることに加え、尿量が増えることで排出されやすくなります。
例えば、ワイン1杯で十数mg程度が消費・排出されるといわれています。
▪️糖質(甘いもの・精製食品):糖の代謝にもマグネシウムが必要。甘いものや精製食品が多い食生活は、マグネシウムの消耗を高めます。
▪️カフェイン(コーヒー・紅茶・エナジードリンク):カフェインには利尿作用があり、マグネシウムを含むミネラルが尿から排出されやすくなります。
毎日忙しく、お酒や甘いもの、コーヒーに頼りがちな現代女性のライフスタイルは、知らず知らずのうちにマグネシウムの消費が増えてしまうことに。

注目したいマグネシウムの”ゆるめ力”
代謝や神経伝達など、私たちのからだの中で 300以上もの体内反応 に関わるマグネシウム。
不足すると、筋肉のけいれん(こむら返り、まぶたがピクピクなど)、イライラや神経過敏、便秘や睡眠の質の低下など、身近な不調につながりやすいといわれています。
マグネシウムは、筋肉をリラックスさせ、神経伝達をスムーズにして、ストレスホルモンの働きを和らげるなどの働きがあります。
つまりカラダを緊張状態から”ゆるめて”くれるミネラルとも言えます。
体内の多くの反応に関わっているため、様々な面での効果が期待できるのがマグネシウムのすごいところ。
マグネシウム、食事で摂るならどれくらい?
では、一日の推奨摂取量(270mg)を食事だけで満たすには、どんなものを食べるのがよいのでしょうか?
▼代表的な食品と270mgを満たすための目安量(日本食品標準成分表2020年版より)
玄米 約260g(茶碗2杯半弱)
そば(乾麺) 約190g(約2束)
納豆 約4パック(約200g)
アーモンド 約90〜100g(約80〜90粒)
ごま 約75〜80g(大さじ8〜9)
ひじき(乾燥) 約45g(小鉢2〜3杯分)
海藻やナッツ類にはマグネシウムが多く含まれていますが、推奨量を毎日食事だけで満たすのはなかなか大変なもの。だからこそ、食材の組み合わせや工夫が大切です。サプリメントなどで補うのも、一つの手です。

鉄とマグネシウム、2つを意識する暮らし
鉄は、体のすみずみに酸素を届け、エネルギーを生み出すサポート役。
マグネシウムは、そのエネルギーをしっかり働かせるために欠かせません。
つまり、鉄とマグネシウムは一緒にそろってこそ、毎日の元気を支えるパートナー。
ふたつを意識して摂ることで、心とからだをやさしく整えやすくなります。
「なんとなく不調」を感じたら、鉄だけでなくマグネシウムにも目を向けて。
2つのミネラルを味方につけることで、心もからだも、もっと心地よく過ごせるはずです。