婦人科系の病気で30代から40代の女性に多いとされる「子宮筋腫」。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。子宮筋腫とは、子宮の筋肉層にできるこぶのような良性の腫瘍です。腫瘍というと悪性のものを想像しがちですが、子宮筋腫は悪性腫瘍への変化や他の部位への転移などはほとんどありません。
この子宮筋腫は、月経のある女性の4人に1人ができるともいわれている、誰でもなりうる病気です。なぜできるのか、その原因ははっきりしていませんが、筋腫の発育には、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響していると考えられています。そのため、閉経後は自然と小さくなる傾向があります。発症しても症状が軽い場合は、経過観察となることも。また、症状がなく気づかず一生を過ごす人も少なくありません。
子宮の壁は、一番外側が漿膜(しょうまく)、次に筋層、内側が粘膜(内膜)でできています。子宮筋腫は、この三層のどこにできるか、どの方向に発育するかによって症状が違ってくるのです。いろいろな種類、大きさの筋腫が複数個できることも多く、筋腫が大きくなるにつれて子宮が巨大化していきます。
子宮筋腫があるかないかは、婦人科を受診しないかぎり、自分で気がつくことは難しいですが、経血量が一つのヒントになる場合があります。
・月経中に多量の出血がある ・持続的に出血する ・レバーのような血のかたまりがよく出る
これらは子宮筋腫のなかでは、もっとも多い症状で「過多月経」といいます。1回あたり150ml以上の出血量の場合とされますが、目安としてナプキンが1時間もたない、タンポンとナプキンを併用しないと漏れてしまう、などを目安に「経血量が多い」と判断することもできるでしょう。また、子宮筋腫を発症する方の多くに貧血の症状があり、顔色が悪く立ちくらみや動機、倦怠感を伴うこともあります。それは子宮筋腫によって、経血量が多くなる傾向があるからです。
なぜ、子宮筋腫があると経血量が増えるのでしょう?それは、子宮筋腫が子宮内に突き出ることで子宮の内側が変形して、子宮筋腫が大きくにつれて子宮内膜の表面積が増え、内膜の剥がれ落ちる量が増えるためだと考えられています。
さらに子宮筋腫が巨大化すると周囲の臓器を圧迫し、下腹部痛、腰痛、頻尿、便秘などの症状が現れます。子宮筋腫のタイプによっては不妊や流産の原因になることも。また出血量が変わらないまま8日以上続く場合は、過長月経が考えられます。これにも子宮筋腫の可能性が潜んでいます。
長年生理と付き合っている私たちは、経血量がちょっとくらい増えても「こんなときもある」と特に異常だと感じないこともあります。また目まいや疲れやすさも、「疲れてるだけかな」と病気を疑うことはほとんどないでしょう。でも、それこそ身体からのサインかもしれません。日々の“ちょっとした変化”こそ侮らず、ぜひ次の生理から、意識して経血量を観察してみてください。
経血量が増えた、生理不順が続いている、生理が来ても量が少ない、生理痛が重くなった、こんなサインは要注意。また、子宮筋腫が小さなものだと全く自覚症状がないこともあります。いままでと同じ生活をしているのに、目まいや疲れやすさ、動悸、息切れ、だるさなどを感じることが増えてきた人は、貧血かもしれません。貧血の検査を受けたことで、子宮筋腫が発見されたという人もいます。
過多月経、過長月経、貧血などの症状があるからといって、必ず子宮筋腫があるということではありませんが、一つの可能性として疑う目を持つことが大切です。 「ちょっといつもと様子が違うかな?」一番最初に気が付けるのは自分自身。ささいな身体の変化を見逃さず、気になる症状があれば早いうちに婦人科へ。自分の体の声に耳を傾けて、快適な生理ライフを送りましょう。