普段は特に冷えが気にならないという人も、生理中には冷えを感じるという人も少なくないのではないでしょうか。手足が冷たくなったり、背中や腰がぞくぞくする嫌な寒気。顔色もくすむし、むくんで体も重くて、人によっては下痢もあったりと、生理をさらに憂鬱にさせます。 なぜ生理中は冷えを感じるのでしょう。まずは、生理の仕組みを確認してみましょう。
一般的に生理周期は28日間。排卵前の体温の低い時期「低温期」と、排卵後の体温が高くなる時期「高温期」に分かれます。これには、2種類の女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の働きが大きく影響しています。
生理が始まってから排卵までの14日間は低温期。「卵胞ホルモン」が子宮内膜をふっくらと厚くします。分泌量が一定量に達すると、排卵が起こります。排卵から14日間は高温期。「黄体ホルモン」が子宮内膜をふわふわと柔らかくして、受精卵が着床するように整えます。 その後、受精卵が着床しない場合、つまり妊娠しなかった場合には、不要となった子宮内膜が剥がれ落ちます。そして、プロスタグランジンという物質が子宮を収縮させ、血液や粘液とともに体外へ押し出します。これが生理です。
高温期と低温期の温度差は、おおよそ0.3〜0.5℃程度。高温期の平熱が36℃前半という人は、低温期には35℃台とかなり低くなることも。体温が低い状態は、血管が収縮するので血流が悪くなり、さらに体温を低下させます。子宮を収縮させるプロスタグランジンには、血管を収縮させる働きもあるため、その影響によっても血流が悪くなり、冷えを加速させてしまうのです。
冷えをもたらす体温の低下は、栄養不足や睡眠不足など不規則な生活、ストレス、運動不足などが原因となることがあります。生理中の冷えを根本的に解決するためには、生活のベースを改善していくことが実は何よりも近道。また、朝食も冷えと無関係ではありません。朝食を日常的に食べない人は、体温を上げるエネルギーと栄養が不足していることで、冷えやすくなっている可能性があります。温かい白湯に始まり、消化がよく体を温める食べ物を摂るようにしましょう。
とにかく今この生理中の冷えをすぐにでも解消したい、という場合に、温めたい場所はいくつかあります。ポイントは、温かさの源“血流”をよくすること。そして、全身の血流をよくするために、太い血管を温めることです。手足が冷たいからと末端を温めたりするよりも、全身に影響の大きい太い血管を温めて血流をよくすることで、そこから枝分かれする毛細血管の流れも良くなります。 具体的には、太ももの付け根(そけい部)、腰、背中。そして3つの首(首・手首・足首)です。生理中でなくともこれらを冷やさない習慣を身につけておくと、おのずと生理中の冷えにもさよならできるかもしれません。
入浴も全身の温めには効果的。生理中で冷えている時こそ、お風呂を活用したいものです。でも、生理の時、入浴しても良いのか迷うという声も耳にします。入浴中は水圧により経血が出にくい状態にあること、また清潔 なお湯に浸かっていれば何か感染症になる心配はないので基本的に問題ありません。浴槽から出る際や、 立ち上がった時に経血が出るのが心配な出血量の多い日には、洗面器 などで足湯をし、足首から全身への血流を促すのも良いでしょう。 栄養・睡眠・運動・温め・入浴、とポイントをいろいろご紹介しました。できることから毎日の温め習慣を身につけて、生理ライフを快適にしていきましょう。