
人生百年時代──などとよく聞きます。
長い人生の中で、特に女性はライフステージの変化に大きく左右されるもの。
からだと向き合う上で、意識したい栄養素は、ライフステージによって少しずつ変わっていきます。
生理のある時期、妊活期、産後、更年期前後――。
それぞれの時期に、からだが必要としているものは違ってきます。
「今」の自分に何が必要か、少し立ち止まって考えてみませんか。

生理のある時期──鉄
現代女性が生涯で経験する生理の数は、約480回(*)と言われています。
生理のある時期は、どうしてもそのリズムに合わせて鉄が失われやすくなります。忙しい毎日の中で、自分では気づかないうちに不足しがちになることも。
日本人の食事摂取基準(2025年版)でも、生理のある女性は生理のない女性に比べて、鉄の推奨量が約1.5倍~2倍ほど高く設定されています。
レバーや赤身の肉、ほうれん草、ひじきなど、鉄を多く含む食材は身近にいろいろとありますが、生理のある女性の鉄の推奨摂取量は、1日10~10.5mg。これは、例えば豚ロース肉で換算すると、約3.5kg相当。
毎日の食事だけで必要な量を安定して摂り続けるのは、忙しい日々の中では難しいのが現実です。そんなときは、食事を基本にしながら、無理のない範囲で栄養を補う工夫を取り入れてみるのもひとつの方法です。
*女性が初潮を迎えてから、 閉経するまでの期間を平均40年間として。

妊活期──鉄・葉酸
妊娠を考え始めたら、積極的に摂り入れたい栄養素は、葉酸、そして鉄。
どちらも、厚生労働省が摂取を呼びかけている栄養素のひとつ(*2)です。
葉酸は妊娠前からの摂取が、胎児の神経管閉鎖障害の予防につながるとされています。
鉄は、妊娠期に胎児の成長や循環血液量の増加にともなって必要量が増えるので、妊娠前から継続して摂り続けることが大切。
また、亜鉛も妊活の心強い味方となる大切なミネラルです。
いずれも体内では作れず、食事から摂り入れる必要のある栄養素。
「そろそろ……」と思ったそのときから、からだづくりを始める人も少なくありません。
毎日の食事や生活習慣を見つめ直すことも、「これから」への準備のひとつ。焦らず、自分のペースで続けていきましょう。
*2 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(厚生労働省)

出産・授乳期──鉄・マグネシウム
出産を終えたからだは、多くの栄養を消費した状態にあります。
鉄は、出産による出血で失われるほか、母乳にも一定量が含まれるため、産後も継続して意識したい栄養素のひとつ。
また授乳期は、母乳を通じて赤ちゃんに栄養を届けるため、からだの中でも栄養素の消費が続く時期です。
マグネシウムも同様に、母乳を通じて赤ちゃんへ届けられる栄養素。カルシウムの代謝や骨の形成にも関わるとされ、赤ちゃんの成長を支える基盤として、授乳期にも意識したいもの。
慣れない育児で自分のことは後回しになりがちな時期だからこそ、食事だけで摂りきれないと感じたときは、頑張りすぎず、自分に合った方法で栄養を補う工夫を。自身のからだをいたわることは、赤ちゃんと向き合う毎日を支えることにもつながっていきます。

更年期前後──マグネシウム・カルシウム
更年期前後は、からだのリズムがゆるやかに変化していく時期。この時期に意識したい栄養素は、マグネシウムやカルシウム。
更年期で減少する女性ホルモン(エストロゲン)は、骨の代謝にも関わっています。心身の変化を感じやすいこの時期、骨の健康も意識したいもの。
骨や歯の構成成分であるカルシウム、そしてそのカルシウムをうまく働かせるために必要なマグネシウムを摂り入れてみましょう。
カルシウムやマグネシウムは、大豆製品や海藻類、乳製品など、日々の食事に取り入れやすい食材にも多く含まれています。食事から摂り入れるのはもちろん、市販のサプリメントなども選択肢に加え、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
心身の変化を「不調」として捉えるのではなく、からだの声に耳を傾ける時期として、穏やかに向き合っていきたいものです。

おわりに──「今」の自分を知ること
生理が始まり、妊娠・出産を経て、更年期へ。
女性のからだは、ライフステージごとに少しずつ変化していきます。
だからこそ、「今」の自分に必要な栄養も、少しずつ変わっていくもの。
20代と40代、月経のある時期とない時期とでは、からだが求めるものも自然と違ってきます。
今のからだが何を必要としているか、時々立ち止まって見つめ直すこと。それも、からだとの付き合い方のひとつかもしれません。
「今」の自分を知ることから、これからのからだづくりを始めてみませんか。