Bé-A Journal

十人十色な生理痛。その原因と解決策とは。

生理痛の主な原因は、女性ホルモン

多くの女性が人生の大半をともにする「生理」。最近ではPMS(月経前症候群)という言葉が一般化し、生理が体の不調を引き起こすことが広く知られるようになってきました。一方で、その生理の「痛み」に対して、何かしらの対処をしているという人はまだ少数。生理の痛みやつらさは「我慢するもの」と捉えている人が多いのも現実です。

そもそも、なぜ生理痛は起こるのでしょうか。多くの場合、月経時に分泌される「プロスタグランジン」という女性ホルモンが痛みを引き起こす原因と言われています。月経は、子宮の内膜が子宮壁から剥がれ落ちて、血液とともに排出される現象。そのとき、この「プロスタグランジン」が体内で分泌され、子宮をギューッと収縮。はがれた子宮内膜を押し出そうとします。経血を排出する経路(子宮頸管)が狭く経血が体外に出にくい人や、血行が悪い人は、「プロスタグランジン」の分泌量が多くなります。すると、子宮を収縮させる力が強くなるために、生理痛が強くなる傾向に。このような理由から、痛みの程度には個人差が生まれているのです。

生理痛を和らげるために出来ること

生理痛を引き起こす女性ホルモン「プロスタグランジン」の分泌量は、実は生活リズムの影響を受けやすいといわれています。規則正しい生活を心がけ、きちんと睡眠をとること。そして精神的・身体的ストレスを減らすことが生理痛を和らげるための一歩になります。また身体の冷えも大敵。これは身体が冷えると、血液の循環が悪くなり、痛みの元となるホルモンが体内に滞りやすくなるためです。生理中は、分泌されるホルモンによって血管が収縮するので、普段以上に冷えや血行不良が起こりがち。冷えを解消し、血行をよくすることも、生理痛を和らげるのに効果的です。意識的に1枚多く衣服を羽織るなど、少しの工夫から始めてみましょう。

毎月のサイクルで生理痛を強く感じるという人は、我慢は禁物。生活の改善はもちろんですが、薬の服用を検討してみるのも良いでしょう。多くの生理痛薬には「プロスタグランジン」の生成を抑える働きがあります。

気をつけたいのは飲むタイミング。我慢をしつづけ痛みがピークにきたときに服用しても、すでに「プロスタグランジン」が多く分泌されているため効果が限定的になることも。痛みを感じたらすぐに服用できるとベストです。薬の服用には痛みを減らすだけでなく、月経血量を減らす効果も期待できます。まずは薬剤師に相談もしくは婦人科を受診して、自分にあった薬を処方してもらいましょう。

生理を我慢しなくていい社会に

生理痛やつらさは個人差が大きく、その症状は人によって様々です。ほとんど痛みを感じないという人もいれば、毎回起き上がれないほどの痛みを感じ、生理中は、仕事や家事がままならなくなるという人も。本人だけではどうにもできないこともあります。

まずは、生理痛を「仕方がないもの」と放置しないこと。重い生理痛の裏には、子宮内膜症などの病気が隠れている場合もあります。毎月付き合う生理ですから、我慢しながらあきらめるのではなく、自分にあった解消法を見出して、生活の質を向上させることを目指しましょう。

働く女性の生理痛への対策としては、1947年に日本が世界に先駆けて法的に定めた「生理休暇」があります。しかしながら、厚労省が平成27年に行った調査によると、その取得率はなんと1%未満という現状。年々働く女性が増えている一方、生理への理解にはまだまだ課題が残っていると言えるでしょう。
風邪や頭痛と同じように「生理で体調が悪い」と周囲に伝えられて、生理休暇だって当たり前に取得できる。自分の生理について、家族や周囲の人と抵抗なく話すことができる。そして、周りがそれを当然のことと許容できる。
そうやって、一人ひとりが自分の生理と向き合い、痛みなどの不調を解消しようと行動することは、心身を健康に保ち、垣根のない社会づくりへとつながっていくはずです。