Bé-A Journal

思いやりのすれ違い?男性にとっても身近な「生理」

男性も生理と共存するために

大変だけれど大切な生理。女性と男性とでは身体的な作りが違うことで、男性側が生理の大変さを理解しようと思っても、なかなか難しいことではあります。
 
積極的に知ろうとしない限り、知識を得る機会は少ないものですが、例えば、女の子を持つシングルファザーのご家庭の場合、子どもから話しづらかったり、一人で不安を抱えたり、父親から適切に教えてあげることができなかったりと、上手くコミュニケーションを取れないことがあります。
また、パートナーの生理の重さや大変さがわからないことが原因で、すれ違いが起きたりお互いに不満が募ってしまって上手に関係性を気付けない場合もあります。
 
誰もが心地よく生活する上では、男性だから、女性だからという性別を問わず、相手を思いやる心を大切にしたいもの。思いやりは「想像力」があってこそですが、生理についてさっぱりわからないという場合には想像すらままなりません。
 
男性のほとんどが、生理中の女性は、痛みに代表されるさまざまな症状によって辛い日が続くことを知っているでしょう。優しい気遣いに感謝の気持ちをもった経験のある女性も多くいるのではないでしょうか。
しかしながら、女性の心身は、1ヶ月の間に目まぐるしく変化していて、PMS(月経前症候群)や排卵痛などもあり、辛い時は生理期間に限ったことではないのです。
いつ、どんな症状が起きていて、どんな風に辛いのか、どんな不便さがあるのか、などを深く知らないがために、優しくしたい気持ちとは裏腹に女性に無理を強いてしまったり、傷つけてることもあるかもしれません。
 
男性と女性が「生理」を通してうまく共存していくためには、生理や女性の心身の変化について、正しく知り、お互いに思いを抱え込まずに伝え合い、理解を深めることが大切なのではないでしょうか。

こんなすれ違い、起きてない?生理あるある

例えば、経血の量が多い人の場合、2時間座りっぱなしで拘束される「映画を観る」という行為は辛いものです。
そんなことが辛いの?座ってじっと観ているだけなのに?と思う男性もいるかもしれません。
ですが、同じ姿勢で居続けるのは漏れの不安があり、量が多い人は2時間もナプキンがもたないことも。映画のお誘いはとても嬉しいのに、生理2日目は辛いから断らなくてはいけない、という状況になることもあるのです。
 
「女性はトイレが長い」なんてことを言われることもありますが、生理中に使い捨てナプキンを使用している場合には1日5〜8回程度ナプキンの交換が必要なため、トイレの度に洋服に経血がつかないように配慮しながらナプキンの付け替え、後処理などをしなくてはなりません。
昨今では月経カップや吸水ショーツなど、長時間交換を必要としないアイテムも登場していますが、とはいえ、脱ぎ着する時に洋服を汚さないようにと気遣いながら過ごすのはもちろん、ロングスカートの場合は裾に気をつけなければならないし、サロペットなど上下が繋がっている洋服を着ていた日にはトイレで服を脱いで下着を脱いでと大掛かり。
 
女性のトイレは案外バタバタ。そんな状態だから女性トイレはいつも混んでいるし、時間がかかって一緒にいる人を待たせないようにと気を遣ってトイレに行く回数を減らすなど、できる努力をしていることも。それでいて、トイレから帰るのを待っていた相手に「遅い!」と言われてしまうと、とても悲しい気持ちになるものです。
 
生理は個人差が大きいので、生理痛を感じない人もいれば、生理痛の痛みや貧血に耐えられず倒れてしまう人も。一人ひとりその大変さは違うからこそ、Aさんが大丈夫だから、Bさんも大丈夫だろうというような思い込みはなくし、何に困っているか、何が辛いのかを知ろうとすることが、何より大きな優しさになるでしょう。

お互いにストレスを抱えないために

旅行の予定も生理に左右されるし、始まる前は気持ちに余裕が持てずに感情が不安定になる。そんなことが毎月起こる生理。
 
生理を理由に何かを断ったり誰かに迷惑をかけたりというのは女性にとってとても気後れすること。
自分が生理のせいで、相手に不愉快な思いをさせてしまったと、そう罪悪感を持つこともあります。
 
日々コロコロと変わる心と身体のバランス。
お互いにストレスなくコミュニケーションを取るためには、どんな症状で、どんな風に辛いのか、どんな不便を感じているかお互いに話し合うこともとても大切です。
 
関係性や考え方によっては、パートナーに生理の話をあまりしたくないと思う人女性もいるかもしれませんが、ほんの少しだけでも心の扉を開き、生理に対するハードルを下げてあげることで、パートナーとの在り方が変わるきっかけになることも。
 
言葉にしなければ伝わらないこともあるので、お互いに抱える「なんで」の気持ちは、“察しなきゃ” “察してほしい”ではなく、きちんと言葉にして思いのすれ違いを解決していくことで、ストレスのない関係性が築けるはずです。
 
また、相手の生理周期を知ることでも体調や心の変化がわかり、状態を理解しやすいかもしれません。
 
中には、生理周期を管理するアプリを使って、今日の調子や、あとどれくらいで生理がくるかなどを、パートナーと共有する人もいてコミュニケーションが円滑になったという声もあります。
 
男性にとって経験したことのない生理は、わからないことだらけで当たり前。けれど、知りたい、理解したいという気持ちは女性の心身を軽くし、互いの関係性をよりよくしていくはず。
 
「この時期は眠気が強い」「生理中は冷えやすい」大切な人のそんな変化を知っていたら、自然と思いやる気持ちにつながっていくでしょう。そうして、相手を“思いやる心”を大切にしていくことで、人と人は絆を深めていけると信じています。
 
 
医療監修 宗田聡医師(医学博士・産婦人科医・産業医)